最近、AIを活用した分析支援や自動レポートが増えています。
しかし、AIが出す答えがどこかピント外れだったり、
ごく一般的な考察で「それはわかってる」という場面も多いはずです。
実はそれ、AIのせいではありません。
サイトの目的が曖昧なまま計測されているからかもしれません。
GA(Google Analytics)やGTM(タグマネージャー)は
“目的のある観測”のためのツールです。
ところが現場では、「とりあえずGAを入れておく」文化が
未だに根強く残っています。
ウェブサイトには、目的がある。
そしてその目的は、主に次のような軸で分類できます。
| カテゴリ | 主な目的 | KGIの方向性例 |
|---|---|---|
| 販売 | EC・予約・問い合わせ | 売上・CV率 |
| 集客 | メディア・キャンペーン | 訪問数・再訪率 |
| 教育 | ナレッジ・研修・スクール | 学習完了率・滞在時間 |
| 信頼 | 企業・採用・ブランド | 回遊率・コンバージョン経路 |
| 採用 | 求人・応募導線 | 応募率・離脱率 |
この「サイトの存在目的」を定義しないままGAを導入しても、
数値は溜まるが“判断材料”にはならない。
AI分析もまた、人の”問い”を前提に動く。
AIは目的を前提に推論します。
目的がない=問いがない状態では、AIはありきたりな回答しかしません。
目的が定義されたサイトは、設計時点から美しい。
それを実現するために、GAを導入する前に
次の3つの質問を自分(またはチーム)に投げてください。
誰がこのサイトを使うのか?(対象)
何を達成したいのか?(目的)
その成果はどう測るのか?(指標)
この3つの回答こそが、KGI/KPIを形づくる土台です。
ここを言語化しないままタグを埋めると、
あとからAIが混乱し、あなた自身も“分析ができないデータ”に苦しみます。
GAやGTMは、目的の延長線上に存在するツールです。
目的がなければ、そもそもGAを入れる理由がない。
むしろ、GTMだけでイベント送信や簡易計測を行う方が
運用コストも低く、データの信頼性も保たれます。
「ツール導入」はゴールではなく、目的を観測可能にする手段です。
その原則を見失うと、AIも、分析者も迷子になる。
AIは万能ではありません。
正しい目的を与えられたときにこそ、最良の答えを導きます。
だからこそ、AIを困らせないためには、
まず人間がサイトの目的を明確にすることが必要です。
目的 → KGI → KPI → 計測 → 分析 → 改善
この順番を逆にしない。
“目的を言葉にできないサイトは、AIにも読めない”――それが、AI時代のウェブ設計の第一歩です。
#2:「KGIとKPI ― 目的から逆算する指標設計」
AIが理解できるデータとは何か?
人が「問い」を設計する段階から紐解いていきます。