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あなたのサイトの目的は? ― AIを困らせないための設計学 #1 「とりあえずGA入れとけ」から抜け出すために

1.はじめに:AIが困っている

最近、AIを活用した分析支援や自動レポートが増えています。
しかし、AIが出す答えがどこかピント外れだったり、
ごく一般的な考察で「それはわかってる」という場面も多いはずです。

実はそれ、AIのせいではありません。
サイトの目的が曖昧なまま計測されているからかもしれません。

GA(Google Analytics)やGTM(タグマネージャー)は
“目的のある観測”のためのツールです。
ところが現場では、「とりあえずGAを入れておく」文化が
未だに根強く残っています。


2.サイトの目的がなければ、データは意味を失う

ウェブサイトには、目的がある。
そしてその目的は、主に次のような軸で分類できます。

カテゴリ 主な目的 KGIの方向性例
販売 EC・予約・問い合わせ 売上・CV率
集客 メディア・キャンペーン 訪問数・再訪率
教育 ナレッジ・研修・スクール 学習完了率・滞在時間
信頼 企業・採用・ブランド 回遊率・コンバージョン経路
採用 求人・応募導線 応募率・離脱率

 

この「サイトの存在目的」を定義しないままGAを導入しても、
数値は溜まるが“判断材料”にはならない

AI分析もまた、人の”問い”を前提に動く。

AIは目的を前提に推論します。
目的がない=問いがない状態では、AIはありきたりな回答しかしません。


3.GA設定の前にすべき「設計ヒアリング」

目的が定義されたサイトは、設計時点から美しい。
それを実現するために、GAを導入する前に
次の3つの質問を自分(またはチーム)に投げてください。

  1. 誰がこのサイトを使うのか?(対象)

  2. 何を達成したいのか?(目的)

  3. その成果はどう測るのか?(指標)

この3つの回答こそが、KGI/KPIを形づくる土台です。
ここを言語化しないままタグを埋めると、
あとからAIが混乱し、あなた自身も“分析ができないデータ”に苦しみます。


「とりあえずGA入れとけ」文化の終焉

GAやGTMは、目的の延長線上に存在するツールです。
目的がなければ、そもそもGAを入れる理由がない。
むしろ、GTMだけでイベント送信や簡易計測を行う方が
運用コストも低く、データの信頼性も保たれます。

「ツール導入」はゴールではなく、目的を観測可能にする手段です。
その原則を見失うと、AIも、分析者も迷子になる。


結論:AIを困らせないために、人間が目的を持つ

AIは万能ではありません。
正しい目的を与えられたときにこそ、最良の答えを導きます。
だからこそ、AIを困らせないためには、
まず人間がサイトの目的を明確にすることが必要です。

目的 → KGI → KPI → 計測 → 分析 → 改善
この順番を逆にしない。
“目的を言葉にできないサイトは、AIにも読めない”――それが、AI時代のウェブ設計の第一歩です。


次回予告

#2:「KGIとKPI ― 目的から逆算する指標設計」
AIが理解できるデータとは何か?
人が「問い」を設計する段階から紐解いていきます。