AIボット観測を始めた経緯
2026年3月頭から、mare interno.comに訪れるAIボットのアクセスログを本格的に記録し始めた。
EdgeShapingの運用の一環として、どのAIがどのページを見ているかを継続観測することが目的だった。約2ヶ月が経過し、ユーザートリガーと検索/RAGのデータがある程度蓄積された。GSCのデータと照合したところ、面白い分布が見えてきたので整理しておく。
人間がクリックした結果と、AIボットが自らフェッチした結果は違う
GSCは「人間が検索エンジンで検索し、自分でクリックした」結果を記録する。これは今も変わらず重要な指標だ。
一方、AIボットのアクセスには複数の種類がある。今回の分析で使ったのは以下の2種類に限定した。
ユーザートリガー:人間がChatGPTなどのAIに質問した際に、AIが回答生成のために自律的にアクセスしてきたbot。ChatGPT-User、Claude-User、Perplexity-Userなどが該当する。
検索/RAG:人間がNotebookLMなどのツールにURLを明示的に渡して調査・参照させた際のbot。OAI-SearchBot、Google-NotebookLMなどが該当する。
この2種類に共通しているのは、人間の意図が起点になっているという点だ。AIが自律的に巡回する「学習専用」ボット(ClaudeBot、GPTBot、Meta-ExternalAgentなど)とは性質が異なる。
GSCが捉える「人間がクリックした」という行動と、AIボットが示す「人間の意図が起点になったアクセス」は、同じ人間の意図を異なる形で表している。この2つを並べて見ることで、GSCだけでは見えなかったものが浮かび上がる。
2ヶ月分のデータを四象限にプロットする
期間:2026年3月5日〜4月30日
GSCデータ:同期間のページ別クリック数
AIトリガー:ユーザートリガー+検索/RAGのコンテンツページへのアクセス数(robots.txt・サイトマップ等の付随リソースは除外)
縦軸にAIトリガー数、横軸にGSCクリック数を取り、中央値付近で4象限に分割した。

AHQG Matrix ー内海質一定義
各象限の読み方
ALIGNED(AI高・GSC高)
ga4-source-medium2/(GSCクリック62・AIトリガー69)とemail-openrate_2/(GSCクリック21・AIトリガー24)の2ページが位置する。
ga4-source-medium2/はUTMパラメータとGA4のソース・メディア計測を扱った記事。実装系の定番クエリとして、人間の検索とAIへの質問の両方の文脈で機能している。
email-openrate_2/はGA4でメール開封率をMeasurement Protocolで計測する方法を扱った記事。メール開封という馴染みのある課題を技術的深度のある実装で解決する内容が、人間にもAIにも届いている。同じALIGNEDでも、定番クエリ型と技術深度型という異なる理由で両軸に現れている点が興味深い。
LATENT GAP(AI高・GSC低)
現時点で最も注目すべき象限。
consent-and-measurement-japan/(AIトリガー22・GSCクリック2)、ga4-source-medium1/(AIトリガー22・GSCクリック6)、en-stape1/(AIトリガー13・GSCクリック1)などが位置する。
AIには届いているが、人間の検索行動にはまだ現れていない状態。consent-japanはCookieYes・Consent Mode v2・日本のCMP状況を扱った記事で、Google Signals廃止(2026年6月15日予定)に向けて人間の検索需要がこれから高まると予測している。現時点でAIに多く参照されているという事実は、この予測と方向性が一致している。
STANDARD(AI低・GSC高)
ga4-numbers-off/(GSCクリック23・AIトリガー5)、news-20250924/(GSCクリック12・AIトリガー4)などが該当。
人間の検索では機能しているが、AIへの参照頻度は低い。GA4の数値ズレという「現象系クエリ」は人間が検索しやすい一方、AIが回答に積極的に引用するほどの実装密度ではない、という解釈ができる。
INCUBATION(AI低・GSC低)
現時点ではどちらの軸でも低い。育つかどうかはこれからの観測次第。
四象限は静止画ではない
consent-and-measurement-japan/は現在AIO Gapに位置しているが、Consent Mode v2の実務的な必要性が高まるにつれ、GSCクリックが増えてAI-Nativeに移動すると予測している。Google Signals廃止(2026年6月15日)はその一つのトリガーになり得る。
定期観測を続ける
この図は定点観測として定期的に更新していく。象限の移動が見えてきた時点で続報を出す予定だ。