コラム

参照元入門・総まとめ ― データを「AIがわかる」形に整えるという視点

作成者: 内海賢一|2025/10/17 5:27:46

はじめに

GA4を触っていて、こんな経験はありませんか?

  • 「directばかりで流入元が分からない」

  • 「メルマガの成果を確認しても反映されていない」

  • 「トラフィック獲得とユーザー獲得の数字が合わない」

どれも“GA4あるある”ですが、実は仕組みを知っていれば解決できるものばかりです。
この「参照元入門」シリーズでは、そんな混乱を整理しながら、データを正しく“読める”ように整える方法をまとめてきました。

1. 参照元とは「データの出発点」

GA4の参照元(source)は、ユーザーがどこから来たかを示す重要なラベルです。
しかし、ブラウザから情報が渡らなかったり、アプリやQR経由などで失われたりすると、すべて「(direct)/(none)」に分類されてしまいます。

だからこそ、UTMパラメータを正しく設計して参照元を補完することが、GA4の第一歩になります。

2. UTM設計でデータを整える

UTMは「AIにわかる目印」です。
medium・source・campaignをGA4既定の分類ルール(email / social / cpc / display …)に合わせて整理しておくと、データは自動的に正しいチャネルに分類されます。

この“揃える力”が、後のAI分析や自動レポートの正確さを決めます。
UTMを自由に付けられる環境だからこそ、「自由に」ではなく「整然と」設計することが重要です。

3. 運用でブレない仕組みを作る

GA4やUTMは、1人で完璧に設計しても、現場で運用されるうちにブレます。
だから、

  • 社内・代理店と共通の命名ルールを決める

  • スプレッドシートで辞書化して管理する

  • 公開前チェックを“儀式化”する
    といった仕組みづくりが不可欠です。

整っている組織ほど、ダイレクトが減り、分析が速くなるといえます。

4. GA4の「2つの基準」を理解する

GA4は「参照元/メディア」を2つの軸で記録します。

  • セッション基準:その訪問がどこから来たか

  • ユーザー初回基準:最初に訪れた時のチャネル

数字が違うのはエラーではなく、基準が違うだけ
どちらを見るべきかは、目的によって使い分ける。
この2軸の理解が、GA4を「読める」ようになる分岐点です。

5. GA4は“変わる前提”のツール

GA4のメニュー構成や指標定義は、時折Google側で入れ替えが行われます。
「画面が違う」「数字が合わない」と焦らず、データ構造自体は変わっていないと捉えましょう。

大事なのは、UIに振り回されず、自社に必要な見方を探索やLooker Studioで再現できるようにしておくことです。

6. そしてこれから ― AIが読む時代へ

2025年、GoogleはGA4に「Analytics Advisor」というAIアシスタントを搭載しようとしています。
自然言語で「どの流入が伸びている?」「どのキャンペーンが好調?」と聞ける時代です。

でも、そのAIが正しく答えるには、整った参照元データが必要です。
UTMが乱れている、チャネルが未整理のままでは、AIも誤読してしまいます。

つまり、これから必要なのは――

“読み解く力”から、“読みやすく整える力”へ。

7. まとめ

  • 参照元はデータの出発点。UTMで正しく補うことでAIも理解しやすくなる

  • ルール化・辞書化・運用チェックでデータの一貫性を保つ

  • GA4の変化を恐れず、構造を理解して“読める状態”を保つ

AI分析が進化しても、整える人がデータの価値を決める時代です。
その第一歩として、あなたのGA4の「参照元」から見直してみませんか?

 

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