「広告では100件取れているのに、GAだと80件しか出ていないんですが?」
このやり取り、どこの現場でも聞こえてきます。
広告担当者は「GAが正確じゃない」と言い、
分析担当者は「広告が大げさなんだ」と思う。
でも実は、どちらも正しい。
なぜなら──
そもそも、見ている母集団が違うからです。
まず、広告とGAでは“入口”の数え方が違います。
広告は「どれだけの人を送り出したか」=クリックを基準に数える
GAは「実際にサイトへ到達したか」=セッションを基準に数える
たとえば、クリックしたのにページが開く前に離脱したり、
ブラウザやITPの影響でタグが発火しなければ、
広告には記録されても、GAには記録されない。
この段階で、すでに「入り口のズレ」が発生します。
つまり、
広告は「招待した数」、
GAは「実際に来てくれた数」を見ている。
入口の母集団がそもそも違うんです。
さらに“出口”でも、ルールが違います。
広告:一度でも広告経由で来ていれば、その後のCVも“広告の手柄”
GA:検索やSNSなど複数の経路を見て、“最も貢献した経路”に手柄を渡す
つまり、
広告は「勝因を采配で語る監督」、
GAは「勝因をチームに貢献した選手で語る監督」。
どちらも正しい。
ただ、見ている範囲と評価の基準が違うだけです。
(現場の監督が采配を語るのは当然ですよね。)
こうして整理してみると、
ズレには2つの段階があります。
| ズレの段階 | 広告が見ているもの | GAが見ているもの | ズレの理由 |
|---|---|---|---|
| 入口 | クリック(送り出した数) | セッション(到達した数) | 到達前の離脱・技術的制限 |
| 出口 | 広告経由ならすべて自分の成果 | 最も貢献した流入に手柄を渡す | 帰属ルール・定義の違い |
つまり、
「入口でもズレ、出口でもズレる」という構造そのものが、
数字の不一致を生み出しているわけです。
広告は「外へ働きかける活動」を評価し、
GAは「中で起きた行動」を観測します。
どちらが正しいかではなく、
どの視点で見ているかを明確にすることが大切です。
本当に揃えるべきなのは、
数字そのものではなく、
数字を導く前提(定義と範囲)です。
広告は送り出し側の記録
GAは受け取り側の記録
ズレて見えるのは、“視点が違う”だけ
数字の整合を取る前に、
まずは「どの視点で話しているか」を合わせる。
それが、正しいデータ理解の第一歩です。
「広告とGAの数字のズレを、構造から整理したい方へ」
mare internoでは、ツールの比較ではなく、
“定義の設計”から一緒に整えるセッションを行っています。