同意管理(CMP)はどこまで必要か― 日本における現実的な計測・広告設計の考え方 ―

Cookie同意バナーやCMP(Consent Management Platform)の導入は、
近年、多くの企業サイトで半ば標準のように語られるようになりました。

一方で、

  • 法的に本当に必須なのか
  • 計測や広告評価に悪影響はないのか

といった疑問を持つ企業担当者も増えています。

本記事では、
日本の法制度と実務、そして計測・広告の現実を踏まえたうえで、
同意管理をどこまで行うべきか
を整理します。


日本では、Cookie利用に一律の事前同意は求められていない

まず前提として、日本の現行法では、

  • Cookieの利用そのもの
  • 一般的なアクセス解析

について、一律に事前同意を義務づける規定はありません

現在の日本におけるCookie規制の中心は、
電気通信事業法における「外部送信規律」(2023年施行)です。

この規律では、

  • どのような情報が
  • どこに送信され
  • 何の目的で使われるのか

を、通知または公表することが求められています。

そのため、日本国内向けサイトであれば、
プライバシーポリシー等で適切な開示を行ったうえで計測を行うことは、
法的にも実務的にも成立します。


EU向けビジネスでは、対応を分けて考える必要がある

一方、EU圏を対象としたビジネスでは事情が異なります。

GDPRの枠組みでは、

  • 広告目的のトラッキング
  • 個人識別につながるデータ利用

について、明確な事前同意が求められます。

この場合、

  • EUからのアクセスに対してのみCMPを表示する
  • 地域別に同意管理の仕組みを切り分ける

といった対応は、合理的な選択肢となります。

全世界一律で同意バナーを表示する必要はありません。


法律とは別に「使用しているツールの利用条件」にも注意が必要

注意点として、
法律とは別に、
利用しているツールやサービス側の利用条件(ポリシー)
が、同意取得や設定を求めている場合もあります。

日本の法律上は必須でなくても、
グローバルに提供されているツールでは、
その利用条件として同意に関する対応が求められるケースがあるため、
ツール側の要件もあわせて確認することが重要です。

たとえば、アクセス解析や広告配信に利用している
海外製のツールやサービスでは、
利用条件の中で同意に関する設定を求めていることがあります。

したがって、
法的要件とは別に、利用しているツールやサービスの利用条件も確認する必要がある
という点は、企業として押さえておくべきポイントです。


同意バナーは計測に影響を与える

実務上、見過ごされがちなのが
同意バナーがユーザー行動に与える影響です。

多くのケースで、

  • 内容を十分に確認せず
  • とりあえず「拒否」を選択する

という行動が発生します。

その結果、

  • セッションやコンバージョンの欠損
  • 広告効果測定の精度低下
  • 改善判断に必要なデータ不足

といった問題が起こり得ます。

同意管理は、
法対応だけでなく、計測精度とのバランスも含めて設計する必要があります。


広告用途でも、すべてが同意必須ではない

日本では、

  • 広告用途であること
  • マーケティング目的であること

それ自体が、
直ちに事前同意の必須条件になるわけではありません。

たとえば、

  • 自社サイト内での行動分析
  • 匿名IDによる効果測定
  • 統計・集計レベルでの広告評価

など、個人を特定せず、第三者が個人データとして利用しない範囲であれば、
事前同意が必須とはされていません。


注意すべきは「第三者提供」と「個人データ利用」

慎重な対応が求められるのは、

  • メールアドレス等の個人情報を
  • 第三者(広告プラットフォーム等)に提供し
  • その先で個人データとして活用される

こうしたケースです。

この領域では、
日本においても同意取得が必要となる可能性が高い
と考えるのが実務上の安全な判断です。


同意は「取得方法」と「継続的な配慮」が重要

同意が必要な場合でも、
必ずサイト訪問時のポップアップで取得しなければならないわけではありません。

多くの広告連携やCAPI活用は、

  • 会員登録
  • 購入
  • 申込み

といった、ユーザーの能動的な行為を伴う場面で行われます。

このような場合、

  • 利用目的
  • 提供先
  • データの扱い

を明示したうえで、
登録条件や利用規約の中で同意を取得する設計は、
日本では現実的な対応とされています。

加えて、実務上は、

  • 問い合わせ窓口
  • 設定変更や停止の手段

といった事後的に選択を変更できる手段(オプトアウト)を用意しておくことが、
リスクヘッジとして推奨されます。


企業として考えるべきポイント

同意管理において重要なのは、

  • 形式的にCMPを導入すること
  • 海外事例をそのまま適用すること

ではありません。

企業として検討すべきなのは、

  • 対象地域(日本か、EUか)
  • 取得・利用しているデータの性質
  • 第三者提供や個人データ利用の有無

を整理したうえで、
本当に必要な箇所に、適切な形で同意管理を組み込むことです。


まとめ

日本における同意管理は、

  • 日本法では「通知・公表」で足りるケースが多い
  • CMPは計測データ欠損のリスクを伴う
  • そのため、個人データ紐づけ等の
    本当に必要な場面に限定して同意を取る設計が重要

という整理になります。

法対応と計測精度の両立を前提に、
自社の事業とデータ利用実態に合った形を検討することが、
これからのWeb運用には求められています。

参考出典

個人情報保護法 第2条第1項

個人情報保護法 第31条(個人関連情報の第三者提供)

電気通信事業法 第27条の12(外部送信規律)

個人情報保護委員会(PPC)

まずはご相談ください

  • 何が問題なのか整理したい
  • 今の構成が正しいか確認したい
  • 実装すべきか判断したい

といった初期段階の相談でも問題ありません。