トラフィックが減っている。なぜ?
「最近、サイトへの流入が減っている」「GSCで表示回数は出ているのに、クリックに繋がらない」——そんな状況に心当たりがある担当者は少なくないはずだ。
原因のひとつは、ユーザーの検討プロセスが変わったことにある。
かつては、見込み客がGoogleで検索し、複数ページを回遊し、比較・検討してから問い合わせる、というプロセスが当たり前だった。その全体がGAに流入として記録され、トラフィックは「関心の温度計」として機能していた。
今は違う。ユーザーはまずChatGPTに聞く。ChatGPTはあなたのサイトのコンテンツを読んで代わりに回答する。ユーザーはサイトを直接訪れない。検討段階のほぼ全体が、GAの計測範囲の外で完結してしまう。
トラフィックが減ったのではなく、見えなくなったのだ。
そしてこの「見えない」問題を理解するには、ChatGPT-User という概念から入る必要がある。
「ChatGPT-User」とは何か?
ChatGPT-User とは、ChatGPTがユーザーの質問に回答するためにWebページをリアルタイムで取得しに来る際のUser-Agent名だ。
ユーザーがChatGPTに「〇〇について教えて」と質問したとき、ChatGPTはあなたのサイトに直接HTTPリクエストを送りコンテンツを読み込む。その際、サーバーログには ChatGPT-User という記録が残る。
しかしこのアクセスは、GAには一切現れない。
ChatGPT-User はbotだ。人間がブラウザでページを開くのではなく、AIがサーバーに直接リクエストを送ってコンテンツを読み取る。ブラウザが起動しないため、GAのタグは一度も発火しない。

「リファーラル」とは別の話
ここで混同しやすい概念を整理しておきたい。
GA上で chatgpt.com / referral として見えるトラフィックは、ユーザー本人がChatGPT画面上のリンクをクリックして来訪したケースだ。これは人間がブラウザでクリックしている行為なので、GAのJavaScriptが発火して計測される。
つまり二つは全く別物だ。
ChatGPT-User(User-Agent) → ChatGPT botがコンテンツ取得のために来訪。GAには現れない。サーバーログにのみ記録される。chatgpt.com / referral(参照元) → ユーザー本人がリンクをクリックして来訪。GAに一部計測される(ただしアプリ経由はdirectに落ちる)。
前者はAIがあなたのコンテンツを「読んだ」証拠。後者はAIの回答を見たユーザーが「訪問した」証拠だ。
ユーザーの行動プロセスで考える
実際のユーザー行動を時系列で想像してほしい。
- 「〇〇って何?」とChatGPTに質問する
- ChatGPTがあなたのサイトに
ChatGPT-Userとしてアクセスし、コンテンツを読み込む - ChatGPTがユーザーに回答する(あなたのサイトの情報を元に)
- ユーザーは「なるほど」と理解し、さらに比較・検討を重ねる
- 最終的に「問い合わせてみよう」と決断し、引用元のリンクをクリックし直接あなたのサイトを訪問する
GAに何らかの形で記録されるのは5番のみ。2番の ChatGPT-User によるアクセスはGAには現れない。1〜4の意思決定プロセス全体は計測の外にある。
AIボットは「嫌われ者」か「優先客」か?
多くのサイト管理者にとって、AIクローラーはノイズだ。しかし視点を変えてほしい。
ChatGPT-User が頻繁に来訪しているということは、ChatGPTがあなたのコンテンツを回答生成の素材として評価しているということだ。それはGoogleのクロールと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なシグナルかもしれない。
ただし、すべてのAIボットを同列に扱うのは正しくない。
① ユーザーの質問に答えるためリアルタイムで読みに来るbot(優先すべき)
| AI | User-Agent名 | 特徴 |
|---|---|---|
| ChatGPT | ChatGPT-User | ユーザーの質問に応じてリアルタイムフェッチ。robots.txt尊重 |
| Claude | Claude-User | 同上 |
| Perplexity | Perplexity-User | 同上。ただしユーザーがURL指定時はrobots.txt無視の報告あり |
| Gemini | (独自botなし) | GooglebotベースのインデックスとGrounding機能を使う構造のため異なる |
(mare interno LLC 調べ)
② 学習データ収集のために巡回するbot(制御すべき)
| AI | User-Agent名 |
|---|---|
| OpenAI | GPTBot |
| Anthropic | anthropic-ai |
| Perplexity | PerplexityBot |
| ByteDance | Bytespider |
(mare interno LLC 調べ)
では、どうすればいいのか? ── EdgeShapingという考え方
問題の本質は「ブラウザに届く前の段階」にある。
GAはブラウザ上のJavaScriptで動く。ChatGPT-User はブラウザを経由しない。だからGAには映らない。
ブラウザよりも前の層で、トラフィックを取得・識別・制御する必要がある。
私はこれを 「EdgeShaping(エッジシェーピング)」 と呼んでいる。
たとえばCDNといったサーバー層で、リクエストがクライアントに渡る前の段階から「誰が来ているのか」を把握・整形する考え方だ。
EdgeShapingによって初めて、以下のことが可能になる。
ChatGPT-UserなどAIボットのアクセス実態の可視化- ボットの種別識別と優先度コントロール
- リファーラルクリックとボットアクセスの分離分析
- GAの「見えない前段階」のデータ取得
まとめ
GAを見ているだけでは、AIが媒介する意思決定プロセスの大半は見えない。
ChatGPT-User はGAには現れない。それはUser-Agentレベルのbot訪問だからだ。chatgpt.com / referral として見えるのは、長いAI活用プロセスの最終段階でユーザーがリンクをクリックしたときだけだ。
その全体像を把握するには、計測の場所そのものをブラウザの手前に移す必要がある。それがEdgeShapingという発想の出発点だ。
mare interno LLC では、CDNアクセスログを活用したEdgeShaping実装の支援を行っています。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。