GA4に潜む、人とは違う来訪者

そろそろ、GAのデータを疑おう

GA4の数字を、私たちはずっと「人間の行動」として読んできた。訪問数も、滞在時間も、検索流入も、その向こうには人がいるという前提で。その前提を、そろそろ疑ったほうがいい。

最近、GA4の数値を見ていると、ある傾向に気づく。

エンゲージメント時間が1分にも満たない訪問が、全体の9割を超えている。

もちろん、そういう訪問はいつの時代にもあった。検索結果から開いてみたものの、求めていた内容と違ってすぐに戻る。それ自体は珍しいことではない。サイトの作りや記事の質を見直すきっかけとして、この数字を眺めてきた人も多いだろう。

だが、もうひとつの数字と並べたとき、見え方が変わった。

GSCより多い「検索流入」

Googleが検索結果からどれだけのクリックを送ったかは、Search Consoleが知っている。Googleが自分で数えている数字だ。

ところが当社サイトでは、GA4が「Google検索から来た」と記録した数が、Search Consoleのクリック数を上回っていた。ページビューで見て約15%。リロードや同じリンクの再クリックで膨らむ分を除くため、辛めにセッションで見ても約13%多い。

本来、GA4の検索流入はSearch Consoleのクリック数より少なくなるはずだ。同意バナーや広告ブロッカーで計測されない訪問があり、ひとつのセッションの中で複数の検索結果をクリックすることもあるからだ。それが逆に上回っている。

Googleが送った以上の検索流入が、GA4には届いている。では、その差分はどこから来たのか。

ここで、ある疑念が湧いた。当社のサイトには、人間ではない何かが来ているのではないか。

とある計測を入れてみた

そこで、GA4に映る訪問の中身を確かめるため、とある計測を入れてみた。詳細はここでは書かない。ひとつだけ言えるのは、その訪問が「人間がブラウザを操作したものかどうか」の形跡を拾う計測だということだ。

2026年8月1日から10月25日までの約3か月、当社サイトへの訪問を見た。

結果、訪問の約半数に、人間がブラウザを操作した形跡がなかった。

しかもご丁寧に、Google検索から来たと名乗る訪問に絞っても、その割合は約5割に達していた。

「Google検索から来た」は自己申告である

GA4は、訪問がどこから来たかを、ブラウザの申告をもとに判断している。ページを開いたブラウザが「直前にいたのはgoogle.comです」と伝えれば、GA4はそれをOrganic Searchとして数える。

この申告は、送る側がいくらでも作れる。自動で動くブラウザなら、遷移元を好きに指定してページを開ける。

なぜGoogleを名乗るのか。答えは単純で、検索流入はウェブで一番ありふれた訪問だからだ。参照元なしの直接流入や、見慣れないドメインからの訪問は目立つ。Google検索からの訪問なら、誰も気に留めない。紛れ込むには最適の名札である。

しかも、名乗り方まで丁寧だった。本物のGoogleは、遷移元としてドメインだけを渡し、検索語は渡さない。今回の期間、当社で記録された「Google名乗り」は、すべてこの作法どおりの形をしていた。雑な偽装はひとつもない。

GA4のボット除外が効かない理由

GA4には、既知のボットを自動で除外する仕組みがある。設定を変えなくても常に効いていて、止めることもできない。

ただし、ここで除外されるのは「自分はボットだ」と名乗ったものだけだ。既知のボットの名簿と照らし合わせて落としている、という仕組みである。

普通のブラウザを名乗り、Google検索を名乗って来る訪問は、この名簿に載らない。GA4にとってそれは、ごく普通の人間の訪問になる。

名乗りと、姿

当社では、この種の訪問を見分ける手順を「偽装判定」と呼んでいる。

考え方は単純だ。訪問者は「Googleから来た普通の閲覧者です」と名乗っている。その名乗りと、実際の姿や振る舞いに、辻褄の合わないところがないかを見る。

大事なのは、ひとつの矛盾だけでは判定しないことだ。どの手がかりも、単独なら人間にも当てはまる。たとえば、検索結果を背景タブでまとめて開き、読まずに閉じる人は、ページを一度も見ていない。「操作の形跡がない」という点では、機械と同じ姿になる。

判定の根拠にするのは、矛盾の重なりだ。実際、ある程度滞在した検索流入では、矛盾が重なった訪問はほとんど見られなかった。重なりが現れるのは、一瞬で去っていく訪問の側に集中していた。

人間ではない何かを、動かしているのは誰か

意外だったのは、操作の形跡がない訪問の多くが、平日の業務時間帯に来ていたことだ。日本からの来訪で、ごく普通のパソコンの姿をしていた。

これは不思議なことではない。いまのAIエージェントは、人間の指示で動く。調べ物を頼まれたエージェントが、頼んだ人の手元のブラウザで、頼んだ人の勤務時間中に、検索結果のページを次々と開いていく。来る時間帯も、使う環境も、人間とほとんど変わらない。

人間の時間割で動く、人間ではない訪問者。GA4の画面の中で、それを人間と区別するのは難しい。

GA4で手がかりを探すなら

自社のGA4で傾向を見てみたい人のために、標準の項目だけで見られる手がかりを挙げておく。

  • 最新から大きく遅れたバージョンのブラウザ
  • 来訪した国と、ブラウザの言語設定が噛み合わない
  • パソコンなのに、一般の利用者が少ないOS
  • 不自然な画面サイズ
  • 地域が取れない

Google検索からの流入で、エンゲージメントのない訪問に絞り、これらを重ねてみてほしい。ひとつだけなら人間もいる。重なったときに、名乗りと姿のずれが見えてくる。

ここまでなら、検索流入の数字が少し盛られている、という話で済むかもしれない。

だが、話はそこで終わらなかった。

広告を出していないのに、広告流入がある

当社は、広告を一切出していない。広告費は0円だ。

それなのに、GA4には広告からの流入が記録されていた。

約1か月おきに、決まった数ページへ、数秒のうちに一斉にやって来る。来訪した国も、OSも、ブラウザも、すべて空のまま。そして、すぐに去っていく。人間の訪問の形をしていない。

GA4は、URLに広告のクリックIDが付いていれば、それを広告からの流入として数える。検索流入と同じで、これも名乗りにすぎない。付けて来れば、広告流入になる。

広告を出していない当社だから、これが本物ではないとすぐにわかった。広告費0円のサイトに、広告流入があるはずがないからだ。

では、広告を出しているサイトではどうなるか。

同じものが、本物の広告流入に紛れ込む。広告のセッション数に入り、CV率の分母に入り、ROASの計算に入る。広告の成果を判定するまさにその数字に、人とは違う来訪者が混ざる。しかも、本物と見分けがつかないまま。

広告費を払い、その効果をGA4で測り、次の予算を決める。その判断の土台に、人間ではない何かが紛れ込んでいるかもしれない。

そろそろ、GAのデータを疑おう

GA4の検索流入は、Googleから来たものの数ではない。Googleから来たと名乗ったものの数だ。広告流入も同じである。

訪問数も、滞在時間も、直帰も変わらない。GA4は、来たものが人間かどうかを問わずに数えている。数字の向こうに人がいるかどうかは、誰も保証していない。

しかもここまでの話は、GA4に映るものに限った話だ。ページのプログラムを実行しないAIのクローラーは、そもそもGA4には一度も現れない。

GA4の数字は、人の行動の記録ではなく、来たものの記録である。そこに人とは違う来訪者が潜んでいることを前提に、もう一度数字を読み直す時期に来ている。