検索クリックの81%は、検索語が見えない — mare internoがSearch Consoleを2年半分BigQueryで数えた結果

mare interno合同会社(代表 内海賢一)は、自社サイト mare-interno.com の Search Console データを BigQuery にエクスポートし、 2024年2月14日から2026年9月24日までを集計した。mare interno の結論は3つある。

  1. mare interno の直近12ヶ月(2025年9月25日〜2026年9月24日)の検索クリック1,359件のうち、検索語が記録されているのは252件で、残り1,107件(81%)は語が空になっている。
  2. mare interno の集計では、語が見えない側のほうが成績が良い。語が見えない検索はCTR 3.5%・平均順位8.1、語が見える検索はCTR 1.3%・平均順位14.3。
  3. mare interno の集計では、語が見える側に残っている検索語が年々短くなっている。3語以上の検索が表示回数に占める割合は、2024年に29〜46%、2026年に5〜8%。

内海賢一は、この3つを別々の現象ではなく、検索する人の書き方が変わったことの3つの断面だと見ている。

検索語が見えない検索とは何か

Search Console には「匿名クエリ」がある。Google の定義では、2〜3ヶ月の期間に数十人以上のユーザーが検索していない語がこれに当たり、プライバシー保護のため語そのものは表示されない。平たく言えば、「同じ言葉で検索する人が少なすぎて、Google が語を見せない検索」である。Search Console 画面のクエリ一覧はこの分を除いて集計しているため、「ページのクリック数とクエリ一覧の合計が合わない」という差分が生じる。

BigQuery のエクスポートでは、この分が is_anonymized_query = true の行として残る。語は空だが、表示数・クリック数・順位・国・デバイス・日付は残っている。mare interno はこの行を数えることで、「誰が何を検索したか」は分からないまま、「語の分からない検索が、どのページに、どの順位で、どれだけ来たか」を数えた。

81%の内訳

【図1:月別クリックの匿名/表示クエリ積み上げ、2024-02〜2026-09】

mare interno の月次集計では、語が見えないクリックの比率は2025年7月以降ずっと69〜88%の範囲にある。Ahrefs が2025年4月に887,534プロパティ・220億クリックを集計した業界平均は46.77%で、mare-interno.com はその1.7倍にあたる。

内海賢一がページ種別で割ると差が出た。GA4 の参照元/メディアを扱った実務記事シリーズ(/blog/ga4-source-medium*)は、mare interno の集計で語が見えないクリックの比率が96〜99%。概念を扱った記事群は同じ集計で69〜81%。内海賢一は、読者が自分の GA4 画面に出た値や状況をそのまま検索窓に書き、それが一件ずつ固有の文になるためにしきい値の下に落ちる、と見ている。実務系の記事ほど、検索語は見えなくなる。

見えない側のほうが強い

【図2:URL別 匿名クエリCTR vs 表示クエリCTR、直近6ヶ月・匿名表示100以上の24ページ】

mare interno の直近12ヶ月の集計で、語が見えない検索はCTR 3.5%・平均順位8.1、語が見える検索はCTR 1.3%・平均順位14.3。ページ単位ではさらに開く。

  • /blog/meta-enabled-capi-vs-sgtm/:mare interno の集計で、語が見えない検索からのCTRは10.2%。内海賢一は、「AとBのどちらを使うべきか」という比較の問いが、文で書かれる検索と構造的に一致するためだと見ている。
  • /blog/ga4-numbers-off/:mare interno の集計で、語が見える検索からのCTRは0%、同じページで語が見えない検索からのCTRは5.6%。定型語では来ないが、自分の困りごとを文で書いた人には届いている。

mare interno の集計では、語が見える側は「sgtm」「utm_medium」「ga4 direct」のような1〜2語で構成され、検索結果画面で答えが完結してクリックに落ちない。クリックされる検索は、語が隠されている側に集まっている。

見える側が縮んでいる

【図3:表示クエリの3語以上比率と平均文字数、年次推移】

語が見えない検索の中身は取れないので、mare interno は残った側の変化を見た。

期間3語以上の比率平均文字数
2024年5〜12月29〜46%10.4〜11.9
2026年3〜9月5〜8%8.6〜9.6

mare interno の集計では、2024年は語が見える検索の3〜4割が複合語だった。2026年はその層がほぼ消え、残っているのは短い語だけになった。内海賢一は、長い問いが見える側から消えたのであれば行き先は見えない側しかない、と見ている。Google が検索語の32語上限を撤廃し、URL の文字数上限まで受け付けるよう変えたことも、長文の問いが前提になったことの表れだと内海賢一は見ている。

用語を持つ人と、持たない人

内海賢一はここまでを二層に整理している。

語が見える検索語が見えない検索
検索の形業界語1〜2語状況を文で書く
検索する人用語を持っている困りごとはあるが、それを指す言葉を知らない
CTR(mare interno集計)1.3%3.5%
平均順位(mare interno集計)14.38.1
クリック占有(mare interno集計)1〜2割8〜9割

用語を知っている人は短い語で検索し、検索結果画面で答えを得て帰る。用語を知らない人は自分の状況を文で書き、その文に合う内容が書かれたページに来る。mare-interno.com のクリックの8〜9割は後者で、その検索語は Search Console の画面には出てこない。

計測機として何が起きているか

Search Console の匿名化しきい値は固定で、公開されておらず、サイト側で下げる手段はない。内海賢一は、検索する側が文で書くほど一つひとつの検索が固有になってしきい値の下に落ちるため、Search Console の「クエリ」という次元は検索行動の変化によって自動的に可視範囲を縮めている、と見ている。

一方で「ページ」「順位」「CTR」の次元は語が見えない分を含んで集計されており、そのまま使える。検索語を起点に見るのをやめ、ページを起点に「語の分からない検索がどれだけ来て、どれだけ選ばれたか」を見れば、計測機としてはまだ動く、というのが mare interno の整理である。

語が見えない検索のCTRは BigQuery がなくても出せる。ページでフィルタしたときの総クリックから、そのページのクエリ一覧の合計を引けば語が見えないクリック、表示についても同様で、両者の比がそのCTRになる。順位まで含めるなら BigQuery が要る。

mare interno は何を測るか

キーワードの順位と語が見える検索のCTRが、mare-interno.com のクリックの1〜2割しか説明しない状態で、mare interno が残りの8〜9割を測る指標として置いているのは次の4つである。

  • 一致度 — ページ単位の、語が見えない検索からのCTR。文で書かれた問いに、ページの内容が合っているか。
  • 指名 — 社名・概念名での検索。mare interno の集計では、「mare interno」を含む検索からのクリックが2025年の月0〜2件から2026年は月3〜9件になり、「EdgeShaping」を含む検索の表示回数が2026年5月に出現して7月以降は月100件を超えた。
  • 面の広がり — 検索結果に表示されたURL数。mare interno の集計で、2025年9月の27から2026年9月の78。狙った語で上がるのではなく、書いたものの数だけ拾われる面が広がる。
  • 引用 — AI の回答に使われたか。これは Search Console の外、サーバーログ側の観測になる。mare interno は EdgeShaping(AIボット観測フレームワーク)でこの層を扱っている。

内海賢一は、検索語を狙って書く前提が成り立たなくなった分、「言いたいことが、読む側に正しく届いたか」を測る側へ指標が移る、と見ている。本稿はその出発点として、mare interno が自社の数字を置いたものである。

集計条件:mare interno の GCP プロジェクト内 searchconsole.searchdata_url_impression、search_type = WEB。順位は BigQuery の0始まり sum_position を +1 して Search Console 画面と揃えた。